早稲田大学坪内博士記念演劇博物館様の例(3Dモデリングサービス)

お客様の課題と解決策

早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(以下、演劇博物館)様は、古今東西の演劇に関する様々な資料を100万点以上所蔵している、世界有数の演劇に特化した博物館です。
米国のスミソニアン博物館が所蔵品を3Dで閲覧できるようにしたことで、演劇博物館様も所蔵品の立体資料を3D化することに決定しました。スミソニアン博物館は3Dデータを利用するためのソフトウェア「Smithsonian X 3D Explorer」を開発したのですが、演劇博物館様もウェブブラウザ上で閲覧可能な、演劇関連資料に適した高精細の3Dビューワーを独自開発していました。この公開基準に適合した3D作成技術をもっている会社を探した結果、入札を経て、弊社が作業を受託することになりました。最終的に演劇博物館様は下記のような3Dデータベースを公開することになりました。

弊社の作業

弊社は以前から3D撮影と公開の技術の開発を行っていました。CADシステムなどで3D再現をするソフトは多くあるのですが、実際にデジタルカメラで撮影した画像データを破綻なく美しく再現するサービスを提供したかったのです。それらの再現をするためにはどの角度で、何カット撮影するべきか? 解像度はどの程度まで必要か? 保持具が映り込まず、被写体のみを上下左右360度全てから閲覧できるようにするにはどのような撮影方法が適切なのか?等、検討すべき課題は多数存在しましたが、テストを重ね、実用可能な範囲まで技術を磨きました。そのような折、早稲田大学演劇博物館様の業務を受託することができたので、実際の作業に入りました。

撮影はデジタルカメラ5台を統合制御し、被写体を徐々に回転させながら行います。この作業は良好な画像が得られるように、資料に合わせた撮影技術が要求されます。陰影や反射を考慮した照明手法、フォーカス位置の設定、被写体を隈なく撮影するための角度設定、被写体の認識を良くするための背景紙の選択など、これまで美術工芸品や立体物を撮影してきた長年の経験を発揮することで、モデリングに適した画像作成を可能としました。

ひとつの被写体に対して撮影された数百枚の画像を、専用のソフトを利用し3Dモデリング化して最終形態にするわけですが、ここでは画像の再現性を高めるために細かな手作業によるマスキング作業(背景紙、保持具と被写体の分離作業)、PCへの負荷を減らすための不要な画像選定、モデルの整形作業など再現性に見込みを立てながら、様々な専用ソフトを熟知している人員が作業を行う必要がありました。このような作業を経て、演劇博物館様が公開できるフォーマットにしてデータを納入しました。

早稲田大学演劇博物館 デジタル・アーカイブ・コレクションは下のリンクからご覧ください。
演劇博物館収蔵品 3Dデータベース